彼は、私と世界を結びつけてくれた―
「去年の9月から何もせず、ある男性を待ち続けた」と追想するエレーヌ(レティシア・ドッシュ)。パリの大学で文学を教える彼女は、仕事もしたし、友だちと映画館へも行った。だが、彼と抱き合う以外のことは現実感がなく、何の意味もなかったのだ。彼の名前はアレクサンドル(セルゲイ・ポルーニン)、あるパーティで出会った、年下で既婚者のロシア人だ。友人のアニタ(キャロリーヌ・デュセイ)からは「のめり込まないで。いずれロシアに帰るのよ」と忠告されていたが、エレーヌには今の恋を生きることが全てだった。
アレクサンドルからの電話をひたすら待ちわびるエレーヌであったが、彼から「次にいつ会えるかわからない、3週間フランスを離れる」と告げられる。彼の不在に耐えられなくなったエレーヌは、息子とフィレンツェへの旅に出る。
そして、3週間後、アレクサンドルからの連絡を待つエレーヌのもとに、1本の電話が入るが…。