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コラム

マダム・山中の「巴里[パリ]の空の下」

番外編『伯林[ベルリン]の空の下 第54回ベルリン映画祭のご報告』

2月には毎年ベルリン映画祭が行われます。地元の人からは「ベルリナ―レ」と呼ばれている映画祭で、今年で54回目です。私も今回参加しましたので、その報告を。私の見たものだけで偏っていますが。

今年のオープニング上映は、『コールド・マウンテン』で、招待作品にはジャック・ニコルソンとダイアン・キートンのロマンチックコメディ(『恋愛適齢期』)なども上映されて、ニコルソンも来場していました。映画祭始まって早々に、パトリス・ルコントの新作がコンペで上映されましたが、評判はそこそこに良く、またテオ・アンゲロプロスの新作など、話題作の大作もありました。セテラで配給しました『倦怠』や『ロベルト・スッコ』のセドリック・カーンの新作は、『赤信号』(FEUX ROUGES)というジョルジュ・シムノン原作のサスペンスでしたが、セドリック・カーンも初のベルリン映画祭に出品で、主演のキャロル・ブーケ、ジャン=ピエール・ダルーサンとともに来場していました。映画はなかなか面白くて、とてもカーンらしい演出の巧みさ、カメラワークの力強さもありました。車の運転にまつわる渋滞、ストレスで悪夢のような一夜を過ごす男の話しで、いらいらしたストレスと対比させた選曲はすべてドビュッシーで、そのセンスは抜群でした。ドイツ映画では、昨年の『グッバイ、レーニン!』で話題になり一躍スターになった主演の男の子の新作もあり、『愛について考えること』というタイトルの作品の青春映画でしたが、前評判だけで終わっていました。また、『ナイトソング』というタイトルのドイツ映画は、思わせぶりな予告編でしたが、出来は相当ひどく上映中に野次が飛ぶほどでした。巨匠アンゲロプロスも、ルコントも無冠でしたが、なんとトルコ系ドイツ人が撮った『壁に向かって』という移民労働者の生活と恋愛を描いた、へヴィな映画が今回金熊に輝き、驚いた結果となりました。

今回のベルリン映画祭ならではの特別上映ではドキュメンタリー映画の『リズム・イズ・イット!』が、話題を集めていました。ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラの歴代指揮者、カラヤン、アバドの次に2002年から音楽監督になったサー・サイモン・ラトルが、ベルリンの子供やクラシックを知らない若者にクラシック音楽を身近に感じてもらおうとするための教育的プロジェクトというのを立ち上げ、その第1回の催しとして、ベルリンの250名の青少年達と、ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラのダンスと演奏の一夜限りの共演という企画が立てられます。ストラヴィンスキーの「春の祭典」を、ベルリン・フィルハーモニーの演奏に合わせて青少年たち素人ダンサーが踊るまでの、2ヶ月にわたっての特訓の様子が描かれます。ロイヤル・バレエから振付家が来て、子供達を指導していくのですが、全くはじめはでれでれしていた自覚のない子供達が、次第に「何かをやり遂げること」に目覚め、輝いてくる様子が描かれ、ベルリン・フィルハーモニーとの共演の様子まで見ることが出来ます。この映画の上映には、出演した250名の子供達も招待されており、その友達、家族なども来ていて、会場の盛り上がりは凄いものでした。

この映画は多分日本でも公開されると思いますので、皆さんお楽しみに。
セテラ・インターナショナル 山中陽子

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