ドイツ映画テレビ・アカデミーの卒業作品にして初監督作となる本作が、海外で熱狂的な人気を呼び、30を超える映画祭で数々の賞を受賞したヤン・オーレ・ゲルスター監督。本国でも大ヒットを記録し、ドイツ・アカデミー賞の作品賞・監督賞を含む主要6部門を獲得する快挙を成し遂げた。主人公には人気俳優『素粒子』のトム・シリング。ベルリンをさまよう等身大の青年ニコを演じ、ドイツ・アカデミー賞主演男優賞を獲得。さらに、ニコが出遭うひとクセある人たちには、総勢20名以上の個性豊かな名優たちが集結。ヨーロッパに大いなる笑いと、キラリと光る希望を吹きこんだ新しい風が、いま日本に届く──!


映画のもうひとつの主役はベルリン。街のシンボルであるテレビ塔、かつて東西を隔てたフリードリヒ通り駅と壁跡、サブカルチャーの聖地“タヘレス”。そこかしこに歴史が生き、過去と現在が交錯する、真実のベルリンをニコとともに体感できる。人生で少し立ち止まりたくなった時、様々な人と出遭い、喜び、傷つき、戸惑いながらも、次の道へとつづく扉を見つける。「大丈夫、また歩き出せる」という安堵感と未来への可能性が、私たちを励ましてくれる──そんな、少し苦いけれど心を温めてくれる、一杯のコーヒーのような物語が完成した。



2年前に大学を辞めたことを父に秘密にしたまま、“考える”日々を送っている青年ニコ。恋人の家でコーヒーを飲みそこねた朝、車の免許が停止になった。アパートでは上階に住むオヤジに絡まれ、気分直しに親友マッツェと出かけることに。すると、クサい芝居の売れっ子俳優、ニコに片想いしていた同級生ユリカ、ナチス政権下を生き抜いた老人等々、ニコの行く先々でひとクセある人たちが次々と現れる。果たして、ニコのツイてない1日の幕切れは──?