1972年2月8日、パリ近郊のヌイィ=シュル=セーヌ生まれ。実業家の父とロシア系グルジア人で貴族の血を引く母のもと、四人兄弟の三男として生まれ育つ。裕福な環境にあったが、子どものころからほかの兄弟と違って身体が弱かったため、母親はギヨームだけ区別して過保護に育て、そのためもあって彼は空想のなかで女の子を真似るようになっていった。そしてその最大のモデルにしてお手本となったのが母親だった。
　初等教育を終えてのち、英国での寄宿学校生活を経験。フランスに戻ってからは、漠然と歴史を学ぶ予定でいたが、19歳のとき、彼の最大の理解者だった従姉妹のアリシア（映画の冒頭、彼女の写真とメッセージが写し出される）が若くして突然、亡くなったのをきっかけに、自分の将来を演劇の世界に定め、フロランの演劇学校へ。さらにコンセルヴァトワールに入り、ドミニク・バラディエやダニエル・メスギッシュらの指導を受ける。'98年に卒業し、'05年よりコメディ・フランセーズの正規団員として数々の舞台に立つ。マリヴォーの「La Mère Confidente」やジョルジュ・フェドーの「ル・ダンドン（間抜けな男）」などの当たり役をもつ。また、'06年には銕仙会の主催による能の舞台に出演のため、来日も果たしている。

　舞台活動に並行して、'90年代より「フォルクスワーゲン・ゴルフ」などのテレビ・コマーシャルにも登場するようになり、映画にもサリー・ポッターの『タンゴ・レッスン』（'97年）、クロード・ルルーシュの「Une pour toutes」('99年)などに出演を重ね、'00年には大ヒット作「Jet Set」に出演したことをきっかけに、映画の世界でもその名を知られる。その後、ヴァンサン・ペレーズ主演の『花咲ける騎士道』（'03年）、ダニエル・トンプソンの『モンテーニュ通りのカフェ』（'06年）、ラディ・ミヘイレアニュの『オーケストラ！』（'09年）で好演を見せ、ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』（'06年）にも出演。加えて、'08年から'10年までカナル・プリュスで「Les bonus de Guillaume」というコーナー番組のホストとして人気を博すほか、'09年からはフランス・アンテールで「Ça peut pas faire de mal」というコーナー番組を担当。同時にダンスにも傾倒し、フランスを代表するソリスト、シルヴィー・ギエムとの親交から、バレエに関するブックレットを執筆。加えてバルザックの「幻滅」をバレエ用に翻案したりもしている。
　そして'08年、自身の子どものころに材を採った『不機嫌なママにメルシィ！』を舞台劇に仕立てて自作自演し、大評判に。これによって、'10年、すぐれた演劇人に贈られるモリエール賞を獲得。さらに'13年には自ら映画化して大ヒットを飛ばし、セザール賞10部門にノミネートののち、下馬評の高かった諸作を押さえて最優秀作品賞、最優秀脚色賞、第1回作品賞、最優秀男優賞、そして最優秀編集賞の5部門を獲得し、世界にその名と才能を知らしめた。 　また、交友関係の広さも有名で、バレエ界の大御所シルヴィー・ギエムのほか、『愛、アムール』へのゲスト出演でも知られる気鋭のピアニスト、アレクサンドル・タロー、さらに日本有数の能楽師、九世観世銕之丞らと親交を結ぶ。
　今年、2014年には、すでに各方面で話題となっているジャリル・レスペール監督の『イヴ・サンローラン』（'14年）に出演と、今やフランス映画の新たな顔として活躍が期待されている。

1948年7月6日サン=テティエンヌに生まれる。舞台俳優としてディディエ・ブザスやヤスミナ・レザらの演出による舞台に数多く出演するかたわら、'70年代より、映画、テレビでも主に脇役として活躍。とくに映画では、『ジャンヌ／薔薇の十字架』（'94年）、『ジャンヌ／愛と自由の天使』（'94年）、『パリでかくれんぼ』（'95年）、『ジェーン・バーキンのサーカス・ストーリー』（'09年）などジャック・リヴェット作品や、『8月の終わり、9月の初め』（'98年）、『感傷的な運命』（'00年）、『カルロス』（'10年）、『5月の後』（'12年）などオリヴィエ・アサイヤス作品への出演で知られる。その他の主な出演作に、『だれも私を愛さない！』（'93年）、『いつか、きっと』（'02年）、『あの夏の子供たち』（'09年）など。

1933年5月10日アルジェリアに生まれる。父親はスペイン系フランス人で、母親はロシア系ポーランド人。地元アルジェの音楽院でピアノを学ぶ。'50年代初頭にパリに出て、コンセルヴァトワールにて演技を学び、舞台からさらに映画へと出演を重ねる。また、'57年には映画監督のジャック・ベッケルと結婚。'60年代以降、ルイ・マルの『パリの大泥棒』（'66年）、ルイス・ブニュエルの『昼顔』（'67年）、エリック・ロメールの『モード家の一夜』（'68年）と、次々と巨匠たちの作品に出演し、'73年のクロード・ルルーシュ作品『男と女の詩』、さらに'76年のジュスト・ジャカン作品『マダム・クロード』で確固とした地位を築く。その後も、ジャック・ドゥミ『想い出のマルセイユ』（'88年）、ジャック・リヴェット『シークレット・ディフェンス』（'98年）、マノエル・ド・オリヴェイラ『クレーヴの奥方』（'99年）、さらにフランソワ・オゾン『ふたりの5つの分かれ路』（'04年）など、作家性の強い監督の作品で好演を残す。

1976年7月15日ドイツ・ハノーファーにほど近いアルガーミッセンに生まれる。子どもの頃からバレエの世界にあこがれ、13歳のときにロンドンのロイヤル・バレエ・スクールに入学するが、膝をケガして断念。いったんは故郷に戻るが、16歳のとき、モデルとしてパリで活躍するようになる。イヴ・サンローランやシャネル、フェラガモなど、名だたるメゾンのコマーシャルにも登場し、'90年代後半、一躍、トップモデルへと上り詰める。その後、リュック・ベッソンとの出会いをきっかけにフロランの演劇学校に通い始め、'02年に『ザ・ターゲット』で映画デビュー。『ミシェル・ヴァイヨン』（'03年）を経て『トロイ』（'04年）でハリウッド・デビューを果たし、続く『ナショナル・トレジャー』（'04年）でアメリカでもその名を知られるようになる。さらに'05年にはヨーロッパ統合の象徴『戦場のアリア』にも印象的な役柄で出演と、国際派女優として活躍。近年では、『イングロリアス・バスターズ』（'09年）、『マリー・アントワネットに別れをつげて』（'12年）にも出演。

1977年パリにほど近いイヴリ=シュル=セーヌ生まれ。アルジェリア系移民の父マレク=エディーヌも俳優として活躍。8歳で初舞台を経験し、さまざまな舞台に立つ。2008年、TVシリーズ「Engrenages」に出演したのをきっかけに、テレビの世界へ。'09年、ジャック・オディアールが『預言者』のジョルディ役に抜擢して注目を集め、さらに同じ年、レア・フェネールの『愛について、ある土曜日の面会室』のステファン役で強い印象を残す。翌年には、リュディヴィーヌ・サニエ、ダイアン・クルーガーらと共演した「Pieds nus sur les limaces」でコメディにも挑戦し、'12年にはカトリーヌ・コルシニの『黒いスーツを着た男』で主人公の友人役を好演。そして'13年にはキャスリン・ビグローのアカデミー賞ノミネート作品『ゼロ・ダーク・サーティ』にテロリスト一味のひとりとして出演し、ハリウッド・デビューを果たす。個性的な容貌と高い演技力により、今もっとも注目される俳優のひとり。