成功した男と不器用だが心優しい男。
「自由」を求めた二人の友情と恋の行方
Storyストーリー
刑務所仲間のルイ(レーモン・コルディ)とエミール(アンリ・マルシャン)は脱獄を企むも、要領の良いルイだけが成功。ルイは露店のレコード売りから巨大な蓄音機会社の社長にまで出世する。一方、刑期を終えたエミールは、偶然街で出会ったジャンヌ(ローラ・フランス)に一目惚れ。ジャンヌはエミールの工場で働いていた。ジャンヌの後をついて工場にたどり着いたエミールは、ルイと再会。ルイは自分の過去を知るエミールが疎ましく、厄介払いしようとするが…。
Pointポイント
金持ちが支配し、機械化する社会への批判がこめられた大らかな風刺劇。ヴェネチア映画祭で絶賛されるも、ファシスト政権下のイタリアや、ナチス・ドイツなどで上映禁止処分となった。おもちゃ箱のような工場の美術はユニークで、お金が空中に舞うラストシーンは圧巻!チャップリンの『モダン・タイムス』にも影響を与えた名作。
Creditクレジット
監督・脚本・台詞:ルネ・クレール
出演:レーモン・コルディ、アンリ・マルシャン、ローラ・フランス、ポール・オリヴィエ
撮影:ジョルジュ・ペリナル/美術:ラザール・メールソン/音楽:ジョルジュ・オーリック
原題:À nous la liberté/1931年/84分/フランス/仏語/白黒・スタンダード
© 1931 ─ TF1 INTERNATIONAL ─ SOCIETE DES FILMS
●第一回ヴェネチア国際映画祭 最も楽しい映画賞受賞
●1931年度アカデミー賞美術監督賞ノミネート
●1932年キネマ旬報外国映画ベストテン第一位
エミール/Emille
アンリ・マルシャン/Henri Marchand
1898年8月28日、フランス、マンヴィリエ生まれ。20年代は舞台で活躍。『自由を我等に』のエミール役で華々しく映画デビューを果たす。その後、数多くの映画に出演。クレール作品では、『夜ごとの美女』(1952)に出演。’59年、5月22日パリで没。
ルイ/Louis
レーモン・コルディ/Raymond Cordy
1898年12月9日、フランス、ヴァル=ドゥ=マルヌ県生まれ。父親は旅芸人一座の座長。30年代にエピネー撮影所の専属俳優となり、ジャン・グレミヨン監督作『父帰らず』で映画デビューを果たす。1931年の『ル・ミリオン』を皮切りに、ルネ・クレール監督作品の常連となる。’56年4月23日、パリにて没。その他、クレール監督『巴里祭』(33)、『最後の億万長者』(34)、『沈黙は金』(47)、『悪魔の美しさ』(49)、『夜の騎士道』(55)、ジャック・フェデール監督『ミモザ館』(34)などに出演。


音楽:ジョルジュ・オーリック Georges Auric
1899年2月15日、フランス、ロデーヴ生まれ。モンペリエ音楽院でピアノを学び、パリ音楽院の聴講生となる。ヴァンサン・ダンディより作曲法を学ぶ。画家ピカソ、詩人ジャン・コクトー、音楽家エリック・サティらと交流。クレール監督『幕間』(1924)に出演、コクトーの『詩人の血』(30)で初めて映画音楽を担当、その後100本以上の作品を手掛ける。’83年7月23日パリにて死去。その他の作品に、コクトー監督作品『美女と野獣』(46)『オルフェ』(50)、アンリ・ジョルジュ=クルーゾー監督『恐怖の報酬』(53)など。